【2025年12月最新】飲食店の開業に使える今使える補助金・助成金と2026年度の制度予測
飲食店の開業には、物件取得費や内装工事費、厨房設備費など、1,000万円以上の初期投資が必要とされています。自己資金だけでは賄いきれない場合も多く、融資に頼ると返済の負担が重くのしかかります。
そんな中、国や自治体が提供する補助金・助成金制度を活用すれば、返済不要の資金を得られ、開業のリスクを大きく軽減できます。しかし「今から申請して間に合うのか」「自分の状況で使えるのか」と不安に感じる方も多いでしょう。
本記事では、2025年12月時点で申請が間に合う補助金から、2026年度も継続が予想される制度まで、飲食店開業に特化した補助金・助成金情報を網羅的に解説します。新規開業と既存事業からの新規参入、それぞれのケースで使える制度を分けて紹介しますので、ご自身の状況に合った制度を見つけてください。
飲食店開業で知っておくべき補助金・助成金の基礎知識

補助金と助成金の違い

補助金と助成金は、どちらも国や地方自治体から支給される返済不要の支援金ですが、その性質には明確な違いがあります。
補助金は、主に経済産業省が管轄し、予算や採択件数があらかじめ決められています。申請すれば必ず受給できるわけではなく、事業計画書の審査を通過した事業者のみが採択されます。公募期間も1〜2週間程度と短く、締切も厳格です。一方で、補助上限額が数百万円から数千万円と高額なものも多く、設備投資や店舗改装など大規模な支出に活用できます。
助成金は、主に厚生労働省が管轄し、雇用促進や労働環境改善を目的としています。要件を満たせば原則として給付されるため、補助金よりも受給のハードルは低めです。公募期間も数ヶ月から通年受付のものが多く、比較的申請しやすい制度といえます。ただし、支給額は補助金と比べて少額の傾向にあります。
なお、「補助金」「助成金」という名称は必ずしも明確に区別されておらず、助成金と称していても補助金の性質を持つ制度もあります。申請前には必ず各制度の詳細を確認することが大切です。
補助金・助成金を活用する3つのメリット

1. 返済不要で資金調達ができる
融資と異なり、補助金・助成金は返済義務がありません。開業後の資金繰りに返済の負担がかからないため、経営の安定化につながる可能性があります。特に開業初期は売上が不安定になりがちなため、返済不要の資金は大きな支えとなるでしょう。
2. 初期投資のハードルを下げられる
内装工事や厨房設備など、開業時に必要な高額設備の導入費用を補助してもらえます。自己資金だけでは導入を諦めざるを得なかった設備も、補助金を活用すれば実現できる可能性が高まります。
3. 事業計画の質が向上する
補助金申請には事業計画書の作成が必要です。計画を言語化するプロセスで、自身の事業を客観的に見つめ直す機会になります。商工会議所などの専門家からアドバイスを受けることで、計画の精度も高まるでしょう。
申請から受給までの一般的な流れと期間

補助金・助成金の受給までには、一般的に以下のステップを踏みます。
1. 公募要領の確認(1〜2週間)
公式サイトで公募要領をダウンロードし、目的・対象者・締切日・必要書類を確認します。
2. 事業計画書の作成(1〜2ヶ月)
公募要領に従い、事業計画書や必要書類を準備します。商工会議所などで事前相談を受けることで、採択率を高められる可能性があります。
3. 申請(申請期間内)
電子申請システムや郵送で期間内に申請を完了させます。GビズIDプライムアカウントの取得には2〜3週間かかることもあるため、早めの準備が必要です。
4. 審査・採択(1〜2ヶ月)
事務局による審査が行われ、採択・不採択が通知されます。採択されると「交付決定通知書」が届きます。
5. 事業実施(3〜12ヶ月)
交付決定後に、計画に沿って事業を開始します。設備の発注・購入などを行いますが、交付決定前の支出は原則対象外となるため注意が必要です。
6. 実績報告(事業完了後1ヶ月以内)
事業が完了したら、かかった経費の証拠書類(領収書など)を添えて実績報告書を提出します。
7. 補助金額の確定・入金(1〜2ヶ月)
実績報告書の審査後、支給される補助金の額が確定し、指定口座に入金されます。トータルで申請から入金まで8〜12ヶ月程度かかることが一般的です。
【重要】補助金は後払い制度である理由と資金計画の立て方

補助金・助成金は、事業を実施した後から支払われる後払い制度です。つまり、事業に必要な費用は一旦自己資金で立て替える必要があります。
例えば、内装工事に600万円かかり、そのうち補助金で400万円が補助される場合、まず600万円全額を自分で支払い、後日400万円が振り込まれる流れになります。
この仕組みを理解せずに「補助金を元手に開業する」計画を立ててしまうと、補助金が採択されても当座の資金が用意できず、事業が頓挫してしまうケースがあります。
資金計画のポイント
- 補助金を当てにせず、まず融資などで必要資金を確保する
- 日本政策金融公庫の創業融資など、開業前に利用できる融資制度を活用する
- 補助金の入金までの期間(約1年)を見越したキャッシュフロー計画を立てる
- 金融機関のつなぎ融資の検討も選択肢
商工会議所や商工会など、無料で相談できる公的機関を頼りながら、しっかりとした資金計画を立てることが成功への第一歩です。

2025年12月時点で今から申請が間に合う主要補助金4選

小規模事業者持続化補助金(第18回・2025年9月締切予定)

2025年12月時点では、第18回の締切(2025年9月予定)は既に終了していますが、持続化補助金は毎年複数回の公募が行われる可能性が高い制度です。第19回以降の公募が予定されている場合、12月からでも次回公募に向けた準備が可能です。
補助上限: 通常枠50万円、創業枠・賃金引上げ枠など200万円
補助率: 2/3(赤字事業者は3/4)
対象者: 飲食店の場合、従業員5人以下の小規模事業者
この補助金は、小規模事業者が持続的な経営に向けた販路開拓や業務効率化に取り組む際の費用を支援します。店舗改装、広告宣伝、ウェブサイト制作、POSレジ導入など、幅広い経費が対象となります。
商工会議所のサポートを受けながら申請できるため、初めての補助金申請でも取り組みやすい制度といえるでしょう。
IT導入補助金2025(第3次締切・2025年7月予定)

2025年12月時点では、第3次締切(2025年7月予定)は既に終了していますが、年度内に追加公募が行われる可能性があります。また、2026年度の公募開始に向けた準備期間として活用できます。
補助上限: 最大450万円(通常枠)
補助率: 1/2〜2/3
対象者: 中小企業・小規模事業者(飲食店は従業員50人以下)
POSレジ、セルフオーダーシステム、予約管理システム、会計ソフトなど、業務効率化につながるITツールの導入を支援する制度です。ソフトウェアとハードウェア(タブレット、POSレジ本体など)をセットで申請できます。
IT導入支援事業者がサポートしてくれるため、IT機器の導入に不安がある方でも安心して申請できます。
中小企業省力化投資補助金(随時申請可能・2026年9月まで)

補助上限: カタログ型で200万円〜1,500万円(従業員数や賃上げ要件による)
補助率: 1/2
対象者: 中小企業・小規模事業者で人手不足の状態にあること
2024年に新設された制度で、2026年9月末までの期間限定でいつでも申請可能という特徴があります。申請から交付決定まで最短1ヶ月とスピーディなため、2025年12月からでも十分に間に合います。
配膳ロボット、清掃ロボット、券売機、自動精算機、スチームコンベクションオーブンなど、登録されたカタログ製品から選んで導入することで、人手不足の解消につながる可能性があります。購入だけでなく、リースも対象となる点も特徴です。
地方自治体の創業補助金(自治体ごとに締切が異なる)

各都道府県・市区町村が独自に創業支援補助金を設けている場合があります。公募期間は自治体ごとに異なり、通年受付のものや年度末まで受付のものもあります。
補助金例
- 東京都:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(補助上限730万円)
- 大阪府:大阪起業家グローイングアップ補助金(補助上限50万円〜100万円)
- 愛知県東浦町:飲食店創業支援補助金(補助上限110万円、2026年3月31日まで)
自分の開業予定地の自治体ウェブサイトで「(市区町村名) 飲食店 開業 補助金」と検索すると、利用可能な制度が見つかる可能性があります。

【新規開業向け】これから飲食店を始める方が使える補助金・助成金

対象者の条件チェックリスト(創業時期・従業員数・資本金)

新規開業者が補助金を申請する際、以下の条件を満たしているか確認しましょう。
創業時期に関する条件
- 開業届を提出済みで、実際に事業を開始していること(申請時点で未開業は対象外となるケースが多い)
- 創業から一定期間内であること(制度により異なるが、概ね1年以内〜5年以内)
従業員数に関する条件
- 小規模事業者持続化補助金:飲食店は従業員5人以下
- IT導入補助金:飲食店は従業員50人以下
- ものづくり補助金:従業員数により補助上限が変動
資本金に関する条件
- 資本金5,000万円以下(サービス業の場合)
- 資本金5億円以上の法人に100%株式保有されていないこと
その他の条件
- 商工会議所または商工会の管轄地域内で事業を営んでいること
- 全従業員の賃金が最低賃金を超えていること
- 過去の補助金で報告義務を果たしていること
小規模事業者持続化補助金<創業型>(補助上限200万円)

申請条件と必要書類の詳細
創業型は、産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者が対象です。
必要書類
- 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
- 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)
- 補助事業計画書②(様式3)
- 事業支援計画書(様式4・商工会議所が作成)
- 補助金交付申請書(様式5)
- 宣誓・同意書(様式6)
- 創業を証明する書類(開業届の控えなど)
- 特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書
対象経費(内装工事・設備購入・広告費など)
- 機械装置等費:厨房機器、冷蔵設備、製造機械など
- 広報費:チラシ、ポスター、看板、ウェブ広告など
- ウェブサイト関連費:ウェブサイト制作、ECサイト構築など
- 展示会等出展費:見本市出展、商談会参加費など
- 旅費:販路開拓のための出張費
- 開発費:新商品開発に伴う原材料費
- 資料購入費:事業遂行に必要な資料・書籍購入費
- 借料:店舗改装時の仮店舗賃借料など
- 設備処分費:既存設備の撤去・処分費
- 委託・外注費:デザイン委託、システム開発外注など
ただし、交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払いが完了していることが条件です。
申請スケジュールと注意点
創業型の申請は、通常枠とは異なるスケジュールで公募されます。2025年度は第2回公募が予定されており、商工会議所への事業支援計画書の発行受付締切が設定されています。
注意点
- 事業支援計画書の発行には商工会議所との相談が必要(締切の2〜3週間前までに相談開始を推奨)
- GビズIDプライムアカウントの取得に2〜3週間かかる
- 申請は電子申請システムのみ(郵送不可)
- 交付決定前の支出は補助対象外
IT導入補助金(補助上限最大450万円)

POSレジ・セルフオーダーシステムが対象
IT導入補助金では、飲食店で活用できる以下のITツールが対象となります。
- POSレジシステム:注文管理、売上分析、在庫管理を一元化
- セルフオーダーシステム:タブレット型の卓上注文システム
- モバイルオーダーシステム:スマートフォンからの事前注文・決済
- キャッシュレス決済システム:QRコード決済、電子マネー対応
- 予約管理システム:予約受付・顧客管理の効率化
- 勤怠管理システム:シフト管理・給与計算の自動化
- 会計ソフト:経理業務のデジタル化
これらのツールを導入することで、人手不足の解消や業務効率化、顧客満足度の向上につながる可能性があります。
ハードウェアとソフトウェアの組み合わせが必須
IT導入補助金は主にソフトウェアの導入を支援する制度ですが、インボイス枠(インボイス対応類型)では、ソフトウェアとセットでハードウェアの購入も補助対象となります。
対象となるハードウェア
- POSレジ本体
- タブレット端末
- 券売機
- パソコン
ただし、ハードウェアのみの申請はできず、必ずソフトウェアとセットでの申請が必要です。また、ソフトウェアの初期費用に加えて、最大2年分のクラウド利用料も補助対象となります。
申請に必要な条件(GビズIDの取得など)
必須条件
- GビズIDプライムアカウントの取得(取得に2〜3週間程度)
- IT導入支援事業者の選定(登録事業者の中から選ぶ)
- SECURITY ACTIONの宣言(情報セキュリティ対策への取組表明)
- 労働生産性の向上目標の設定
補助額の決定要素
- 満たす業務プロセス数により補助上限が変動
- 1プロセス以上:5万円〜150万円
- 4プロセス以上:150万円〜450万円
業務プロセスの例
- 決済:POSレジ、券売機など
- 総務・人事:勤怠管理、給与計算など
- 業種固有:セルフオーダー、配膳管理など
- 顧客対応:予約管理、顧客台帳など
ものづくり補助金(補助上限最大4,000万円)

生産性向上につながる設備投資が対象
ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、革新的な製品開発や生産プロセスの改善を支援する制度です。
飲食店の場合、以下のような取組が対象となる可能性があります。
補助対象となる取組
- 新商品・新サービスの開発
- 生産プロセスの改善
- サービス提供方法のイノベーション
- 業界で一般的でない革新的な設備導入
ただし、「同業の中小企業に普及している設備」は対象外となるため、一般的な厨房機器の単純な入れ替えでは採択されません。革新性や独自性が求められます。
厨房機器・急速冷凍機などの導入事例
飲食店におけるものづくり補助金の活用例として、以下のようなケースが考えられます。
- 急速冷凍機を導入してECサイトで冷凍食品を販売する新事業
- 真空包装機を導入してテイクアウト・通販事業を展開
- スチームコンベクションオーブンによる調理工程の革新
- 中央厨房システムの構築による複数店舗への効率的な食材供給
これらの設備導入が、単なる買い替えではなく、新たな価値創造や生産性向上につながることを事業計画書で示す必要があります。
飲食店での活用ポイント
補助額・補助率
- 通常枠:補助上限1,250万円(従業員5人以下)、補助率1/2
- 従業員数が増えると補助上限も拡大(最大4,000万円)
- グローバル枠(訪日外国人客対応など):最大3,000万円
採択のポイント
- 3〜5年の具体的な事業計画の策定
- 付加価値額を年率平均3%以上増加させる計画
- 給与支給総額を年率平均2%以上増加させる計画
- 革新性・独自性の明確な説明
ものづくり補助金は審査が厳しく、事業計画書の作成にも専門的な知識が求められます。認定支援機関(税理士、中小企業診断士など)のサポートを受けることで、採択率を高められる可能性があります。
地方自治体の創業支援補助金

東京都:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
補助上限: 730万円
補助率: 2/3
対象者
- 都内商店街で新規開業する若手・女性の創業者
- 申請時の年齢が39歳以下、または女性であること
- 店舗の事業に専ら従事できること
対象経費: 店舗の新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝広告費など
東京都で商店街内に飲食店を開業予定の方にとって、高額な助成が受けられる魅力的な制度です。
大阪府:大阪起業家グローイングアップ補助金
補助上限: 50万円または100万円
補助率: 1/2
対象者
- 大阪府内で創業する者、または創業後5年未満の中小企業者
- ビジネスプランコンテストの優秀提案者(優勝・準優勝)も対象
対象経費: 創業や新事業の展開に要する経費
大阪府内で飲食店を開業する方が利用できる制度です。補助額は比較的少額ですが、創業初期の負担軽減につながります。
その他主要都市の制度一覧
各自治体で独自の創業支援補助金が用意されています。以下は一例です。
愛知県東浦町:飲食店創業支援補助金
- 補助上限:110万円(改装費、賃借料、販売促進費など合計)
- 補助率:1/2
- 申請期間:〜2026年3月31日
富山県南砺市:創業チャレンジ支援事業補助金
- キッチンカーやレンタルスペースの使用料・賃貸料を補助
- お試し出店を支援
大阪府羽曳野市:創業支援補助金
- 設備費用や店舗改装費を支援
自分の地域の補助金を探す方法
1. インターネット検索 「(市区町村名) 飲食店 開業 補助金」「(都道府県名) 創業者 助成金」といったキーワードで検索します。自治体の公式ウェブサイトや商工会議所のページがヒットします。
2. 商工会議所・商工会に直接相談 地域の商工会議所・商工会に問い合わせると、利用可能な制度を教えてもらえます。申請サポートも受けられるため、初めての方におすすめです。
3. J-Net21の支援情報ヘッドライン 中小機構が運営する「J-Net21」では、全国の補助金・助成金情報が更新されています。
地方自治体の補助金は公募期間が短かったり、予算に達し次第終了するケースも多いため、こまめに情報をチェックすることが大切です。

【既存事業者の新規参入向け】別事業として飲食店を立ち上げる方が使える補助金・助成金

対象者の条件チェックリスト(事業年数・売上要件など)

既存事業者が別事業として飲食店を始める場合、以下の条件を確認しましょう。
事業年数に関する条件
- 現在の事業を一定期間以上継続していること(多くの制度で1年以上)
- 決算書や確定申告書の提出が求められる
売上要件
- 事業再構築補助金:売上減少要件が設定されている場合がある(公募回により異なる)
- その他の補助金:売上減少要件がないものも多い
従業員数・資本金
- 中小企業の定義を満たすこと(サービス業は資本金5,000万円以下、従業員100人以下)
- 小規模事業者の定義(飲食店は従業員5人以下)
その他
- 過去の補助金で報告義務を果たしていること
- 賃金・税金の滞納がないこと
事業再構築補助金(最大7,000万円)

新分野展開として飲食事業を始める場合
事業再構築補助金は、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の事業再構築を支援する制度です。既存事業とは異なる新たな分野に進出する際に活用できます。
対象となる類型
- 新分野展開:新たな製品等で新たな市場に進出
- 業態転換:製品等の製造方法や提供方法を変更
- 事業転換:主な事業を転換
例えば、製造業を営んでいた企業が新たに飲食事業を始める、小売業が飲食事業に進出するといったケースが該当します。
申請要件(売上減少要件の有無など)
事業再構築補助金の要件は公募回によって変動しますが、過去の公募では以下のような要件が設定されていました。
主な要件
- 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
- 補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%〜5.0%以上増加
- 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%〜5.0%以上増加
売上減少要件については、公募回によって設定されたりされなかったりするため、最新の公募要領を確認する必要があります。
2024年度で募集終了・2025年度以降は未定
事業再構築補助金は2024年度で募集が終了しました。2025年度以降の継続については、2025年12月時点では未定です。ただし、政府の経済政策として中小企業の事業転換支援は重要な位置づけにあるため、形を変えて類似の制度が新設される可能性はあります。
既存事業者が飲食事業への進出を検討している場合、後述する「中小企業新事業進出促進補助金」も選択肢となります。
中小企業新事業進出促進補助金(2025年度新設)

新規事業進出を支援する制度
2025年度に新設予定の中小企業新事業進出促進補助金は、中小企業の新たな事業分野への進出を後押しする制度です。事業再構築補助金の後継として位置づけられる可能性があります。
対象となる経費と申請要件
2025年12月時点では詳細な公募要領は公開されていませんが、事業再構築補助金と同様に以下のような経費が対象となることが予想されます。
想定される対象経費
- 建物費:店舗の新築・改修費用
- 機械装置・システム構築費:厨房設備、POSシステムなど
- 技術導入費:専門家への技術指導料
- 外注費:デザイン、システム開発の委託費
- 広告宣伝費:開業時の広告・PR費用
- 研修費:従業員研修費用
スケジュールと活用ポイント
2025年度中に公募が開始される見込みですが、具体的なスケジュールは未発表です。新設の補助金は初回公募で採択されやすい傾向があるため、公募開始の情報をこまめにチェックし、早めの準備をすることがポイントです。
情報収集の方法
- 中小企業庁のウェブサイトを定期的に確認
- 商工会議所・商工会に問い合わせ
- J-Net21の支援情報ヘッドラインをチェック
小規模事業者持続化補助金<一般型>

既存事業者でも申請可能な通常枠
小規模事業者持続化補助金の一般型は、既に事業を営んでいる事業者でも申請可能です。既存事業の一環として飲食事業を始める場合や、飲食店の販路拡大・業務効率化に活用できます。
通常枠の内容
- 補助上限:50万円
- 補助率:2/3
- 対象:飲食店は従業員5人以下の小規模事業者
店舗改装、広告宣伝、ウェブサイト制作、設備導入など、幅広い用途に使えます。
賃金引上げ枠・卒業枠などの特例
条件を満たすことで、補助上限を200万円に引き上げられる特例枠があります。
賃金引上げ枠
- 補助上限:200万円
- 補助率:2/3(赤字事業者は3/4)
- 条件:事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+50円以上
卒業枠
- 補助上限:200万円
- 補助率:2/3
- 条件:雇用を増やして従業員数5人を超えて事業規模を拡大する計画
後継者支援枠
- 補助上限:200万円
- 補助率:2/3
- 条件:アトツギ甲子園のファイナリスト・準ファイナリストに選ばれた事業者
複数回申請のルールと注意点
小規模事業者持続化補助金は、一定の条件を満たせば複数回の申請が可能です。
複数回申請の条件
- 過去の補助事業で「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」を提出済みであること
- 卒業枠で採択された事業者は再度の申請不可
- インボイス枠で採択された場合、再度のインボイス枠申請は不可
注意点
- 交付決定から一定期間空ける必要がある場合がある
- 同一内容での重複申請は認められない
- 過去の補助事業の報告義務を果たしていない場合は申請不可

従業員を雇用する飲食店が使える助成金3選

キャリアアップ助成金(正社員化コース・賃金改定コース)

非正規雇用から正社員への転換で最大80万円
キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期雇用労働者やパート・アルバイトを正社員に転換した事業主に支給される助成金です。
支給額(中小企業の場合)
- 有期雇用→正規雇用:1人あたり最大80万円
- 無期雇用→正規雇用:1人あたり最大40万円
対象となる労働者
- 雇用保険被保険者であること
- 正社員転換前に6ヶ月以上雇用されていること
- 転換後も6ヶ月以上継続雇用されること
飲食店では、優秀なアルバイトスタッフを正社員に登用することで、人材の定着と助成金の受給を同時に実現できる可能性があります。
賃金3%以上アップで助成
賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者等の基本給を3%以上増額改定した事業主に支給されます。
支給額(中小企業の場合)
- 3%以上5%未満の増額:1人あたり5万円
- 5%以上の増額:1人あたり6.5万円
対象人数による加算
- 1〜3人:上記金額
- 4〜6人:1事業所あたり28.5万円
- 7〜10人:1事業所あたり47.5万円
- 11人以上:さらに加算
飲食店での活用パターン
パターン1:アルバイトの正社員化 優秀なアルバイトスタッフを6ヶ月以上雇用後、正社員に転換。転換後6ヶ月経過時点で助成金を申請。
パターン2:パートタイマーの処遇改善 パート・アルバイトの基本給を3%以上増額し、賃金規定等改定コースを申請。人材確保と定着率向上を図る。
パターン3:正社員化と賃上げの併用 正社員化と同時に賃金も3%以上アップすることで、両コースの併用も可能性がある(要件確認が必要)。
業務改善助成金(生産性向上と賃金引上げ)

設備投資と賃金引上げをセットで支援
業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資(機械設備、コンサルティング導入、人材育成など)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に助成する制度です。
助成の仕組み
- 設備投資を行う
- 事業場内最低賃金を引き上げる
- 設備投資費用の一部が助成される
賃金引上げと設備投資をセットで行うことで、従業員の処遇改善と業務効率化を同時に実現できます。
コース別の補助上限と助成率
賃金引上げ額と引上げ人数により、助成上限額が変動します。
30円コース(1人〜)
- 助成上限:30万円〜600万円
- 助成率:9/10(上限80%)
45円コース(1人〜)
- 助成上限:45万円〜900万円
- 助成率:9/10(上限80%)
60円コース(1人〜)
- 助成上限:60万円〜1,000万円
- 助成率:9/10(上限80%)
90円コース(1人〜)
- 助成上限:90万円〜1,000万円
- 助成率:9/10(上限80%)
引上げ人数が多いほど助成上限額が高くなります。
申請条件と対象設備
申請条件
- 賃金引上げ計画を策定すること
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇や賃金引下げ等の不交付事由がないこと
対象となる設備
- POSレジシステム
- セルフオーダーシステム
- 券売機・自動精算機
- 厨房機器(生産性向上に資するもの)
- 配膳ロボット
- 予約管理システム
飲食店が人手不足解消や業務効率化のために設備投資を行う際、賃金引上げとセットで実施することで、助成金を活用できます。
トライアル雇用助成金

試用期間中の人件費を補助
トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、ハローワーク等の紹介により一定期間試行雇用した場合に助成される制度です。
試用期間を設けることで、雇用のミスマッチを防ぎながら、人件費の一部を助成してもらえます。
対象者と支給額
対象となる労働者
- ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で雇い入れること
- 過去2年以内に2回以上離職・転職を繰り返している者
- 離職期間が1年を超えている者
- 55歳以上の者
- その他、就職が困難な者
支給額
- 1人あたり月額最大4万円(最長3ヶ月間)
- 母子家庭の母等または父子家庭の父:1人あたり月額最大5万円(最長3ヶ月間)
申請の流れ
- ハローワークにトライアル雇用求人を提出
- ハローワークから対象者の紹介を受ける
- トライアル雇用を開始(原則3ヶ月)
- トライアル雇用終了後、ハローワークに支給申請
- 審査後、助成金が支給される
飲食店では人材の流動性が高い傾向があるため、トライアル雇用で適性を見極めてから本採用することで、定着率の向上につながる可能性があります。

2026年度も継続が予想される補助金制度の見通し

継続確実性が高い主要3補助金

小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、2013年度の創設以来、毎年継続して実施されている制度です。小規模事業者の持続的発展を支援するという政策目的は変わらず重要であり、2026年度も継続される可能性が非常に高いといえます。
公募回数は年度により異なりますが、年3〜4回程度の公募が行われる傾向にあります。
IT導入補助金
IT導入補助金も2017年度から継続している制度で、中小企業のデジタル化推進という政策目標は今後も重視されると考えられます。
特に、インボイス制度への対応やDX推進といった政策との連動性が高く、2026年度も形を変えながら継続される可能性が高いでしょう。
中小企業省力化投資補助金
2024年度に新設された中小企業省力化投資補助金は、2026年9月末までの期間限定制度とされています。しかし、人手不足は構造的な問題であり、省力化投資への支援ニーズは今後も継続すると予想されます。
2026年度以降も、名称や内容を変えて同様の支援制度が継続される可能性があります。
2026年度の制度変更予測とポイント

DX推進・賃上げ支援の方向性は継続
政府の経済政策として、以下の方向性は今後も重視されると考えられます。
継続が予想される政策方向
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- 賃上げの促進
- 生産性向上
- 人手不足対策
- 地方創生・地域活性化
これらの政策目標に合致した補助金・助成金は、2026年度以降も継続または新設される可能性が高いでしょう。
インボイス対応枠の動向
インボイス制度は2023年10月にスタートしましたが、制度移行期間として、免税事業者からの仕入れに係る経過措置が2029年9月まで設けられています。
そのため、インボイス対応を支援する補助金枠は、2026年度も継続される可能性があります。ただし、制度開始から時間が経過するにつれ、支援内容は縮小傾向になることも考えられます。
省力化・生産性向上への注力
日本の構造的な人手不足は今後も深刻化すると予測されており、省力化投資や自動化への支援は強化される方向にあります。
注目される技術分野
- AI・IoTの活用
- ロボティクス(配膳ロボット、清掃ロボットなど)
- 自動化システム
- クラウドサービス
これらの技術を活用した省人化・省力化に対する補助金は、2026年度以降も拡充される可能性があります。
2026年度の申請に向けて今から準備すべきこと

GビズIDプライムアカウントの取得(2〜3週間必要)
多くの補助金申請では、GビズIDプライムアカウントが必須となっています。取得には2〜3週間程度かかるため、今のうちに取得しておくことをおすすめします。
取得手順
- GビズID公式サイトにアクセス
- 「gBizIDプライム作成」を選択
- 必要事項を入力し、申請書をダウンロード
- 申請書に押印し、印鑑証明書とともに郵送
- 審査後、IDが発行される(2〜3週間)
事業計画書の作成
補助金申請には事業計画書の提出が必須です。公募開始後に慌てて作成するのではなく、今から準備を進めることで、質の高い計画書を作成できます。
事業計画書に盛り込むべき内容
- 事業の現状分析
- 市場環境・競合分析
- 自社の強み・弱み
- 新事業の内容・独自性
- 収支計画・資金計画
- 実施スケジュール
- 期待される効果
事業計画は、補助金申請のためだけでなく、自社の経営戦略を明確にする上でも有益です。
商工会議所との相談体制構築
小規模事業者持続化補助金では、商工会議所の発行する「事業支援計画書」が必要です。また、他の補助金でも、商工会議所や商工会のサポートを受けることで採択率が高まる可能性があります。
今からできること
- 地域の商工会議所・商工会の窓口を確認
- 経営相談に行き、担当者と顔の見える関係を築く
- 補助金の最新情報を定期的に聞く
- 事業計画のアドバイスを受ける
商工会議所・商工会は会員でなくても相談可能です(会員の方が優遇される場合あり)。無料で相談できるため、積極的に活用しましょう。

補助金・助成金の申請で失敗しないための7つの注意点

【注意点1】交付決定前の支出は対象外

補助金・助成金の最も重要な注意点は、交付決定通知を受け取る前に行った支出は補助対象外ということです。
例えば、4月に申請して6月に交付決定を受けた場合、5月に購入した設備は補助対象になりません。交付決定後の6月以降に発注・購入したものだけが対象です。
失敗例
- 申請中に「おそらく採択されるだろう」と見込んで設備を先行購入
- 交付決定前に工事を開始してしまった
- 見積もり段階で発注してしまった
これらは全て補助対象外となり、補助金を受け取れません。交付決定通知が届くまでは、契約や発注を控えることが鉄則です。
【注意点2】補助金には審査がある・不採択のリスク

補助金(特に競争的な補助金)は、申請すれば必ず受給できるわけではありません。事業計画書の審査を経て、採択・不採択が決まります。
採択率の目安
- 小規模事業者持続化補助金:60〜80%程度
- IT導入補助金:60〜90%程度(枠により異なる)
- ものづくり補助金:40〜60%程度
- 事業再構築補助金:30〜50%程度
採択率が高い制度でも、不採択となるリスクは常にあります。補助金ありきの資金計画は危険であり、不採択の場合でも事業を進められる準備が必要です。
【注意点3】公募期間が短い(1〜2週間程度も)
補助金の公募期間は制度により大きく異なりますが、短いものでは1〜2週間程度のこともあります。

公募期間の例
- 小規模事業者持続化補助金:約1〜2ヶ月
- IT導入補助金:約1ヶ月
- 一部の地方自治体補助金:1〜2週間
公募開始後に準備を始めると間に合わない可能性があります。常に最新情報をチェックし、公募開始前から準備を進めることが大切です。
また、予算に達し次第、公募期間中でも締め切られるケースもあるため、早めの申請を心がけましょう。
【注意点4】書類不備で対象外になるケース

申請書類に不備や不足があると、審査の対象外となってしまいます。
よくある書類不備
- 必要書類の添付漏れ
- 押印漏れ(電子申請では不要なケースも)
- 記入欄の空欄
- 添付書類の期限切れ(3ヶ月以内のものを求められる場合など)
- ファイル形式の誤り(PDFでの提出が必須など)
また、事業実施後の実績報告時にも証拠書類が必要です。
保管必須の書類
- 見積書
- 発注書・契約書
- 納品書・検収書
- 請求書・領収書
- 振込明細
これらの書類は事業完了後も一定期間(5年程度)保管義務があります。整理して保管しておきましょう。
【注意点5】補助金には課税される

補助金・助成金は「雑収入」として課税対象となります。法人税や所得税、住民税、事業税、国民健康保険料などに影響します。
課税の仕組み
例:飲食店の年間利益が100万円、補助金が400万円の場合
- 収入:100万円(事業利益)+400万円(補助金)=500万円
- この500万円に対して課税される
ただし、経費として計上できるものは差し引かれます。
注意すべきケース
30万円以上の設備を補助金で購入した場合、減価償却費として複数年に分けて経費計上する必要があります。
例:60万円の設備を購入、うち40万円が補助金の場合
- 補助金収入:40万円(初年度に計上)
- 減価償却費:年6万円(耐用年数10年・定額法の場合)
- 初年度の課税対象:40万円-6万円=34万円
このように、補助金収入と経費計上のタイミングがずれることで、初年度に税負担が発生する可能性があります。税理士に相談し、適切な税務処理を行いましょう。
【注意点6】同一経費への重複申請は不可

複数の補助金制度に同時に申請すること自体は可能ですが、同一の経費に対して複数の補助金を受け取ることはできません。
OK例
- A補助金で内装工事費を申請
- B補助金で厨房設備費を申請 →異なる経費なので問題なし
NG例
- A補助金で厨房設備費を申請
- B補助金でも同じ厨房設備費を申請 →同一経費の重複申請で不可
申請書には「他の補助金との重複申請の有無」を記載する欄があります。正直に申告しないと、後から発覚した際に補助金返還を求められる可能性があります。
【注意点7】事業完了後の報告義務がある

補助金を受け取った後も、事業の実施状況や効果について報告する義務があります。
報告の種類
実績報告書 事業完了後、実際にかかった経費や事業内容を報告します。この報告に基づいて最終的な補助金額が確定します。
事業化状況報告・効果報告 補助事業終了後、3〜5年間にわたり、事業の実施状況や売上・付加価値額の推移などを定期的に報告する必要があります。
報告を怠った場合のペナルティ
- 補助金の返還を求められる
- 次回以降の補助金申請が制限される
- 悪質な場合は事業者名が公表される
報告書の提出期限は厳守し、求められた内容を正確に報告することが大切です。

補助金申請をスムーズに進めるための相談先と支援機関

商工会議所・商工会での無料相談

商工会議所・商工会は、中小企業や小規模事業者の経営支援を行う公的機関です。補助金申請のサポートも業務の一環として行っています。
サポート内容
- 補助金制度の説明・最新情報の提供
- 事業計画書の作成アドバイス
- 事業支援計画書の発行(小規模事業者持続化補助金)
- 申請書類のチェック
利用のメリット
- 無料で相談できる(会員でなくても利用可能)
- 地域の補助金情報に詳しい
- 申請実績が豊富で採択のポイントを把握している
最寄りの商工会議所・商工会を調べ、まずは電話で相談予約を取りましょう。
よろず支援拠点での専門家サポート

よろず支援拠点は、国が全国に設置している中小企業・小規模事業者のための経営相談所です。
特徴
- 無料で何度でも相談可能
- 各分野の専門家がチームでサポート
- 補助金申請だけでなく、経営全般の相談に対応
サポート内容
- 事業計画の策定支援
- 補助金制度の選定アドバイス
- 申請書類の作成サポート
- 採択後のフォローアップ
各都道府県に設置されているため、「(都道府県名) よろず支援拠点」で検索してアクセスできます。
認定支援機関(税理士・中小企業診断士)の活用

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)は、中小企業の経営支援に関する専門知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認めた機関です。
認定支援機関の種類
- 税理士・税理士法人
- 公認会計士・監査法人
- 中小企業診断士
- 金融機関
- 商工会議所・商工会
メリット
- 専門的なアドバイスを受けられる
- 一部の補助金では認定支援機関の確認が必須
- 顧問契約している税理士がいれば、スムーズに相談できる
税理士や中小企業診断士に依頼する場合、有料となることが一般的ですが、専門性の高いサポートを受けられます。
申請代行を依頼する際の費用相場と注意点

補助金の申請代行を専門とする事業者もありますが、依頼する際は以下の点に注意しましょう。
費用相場
着手金型
- 着手金:10万円〜50万円程度
- 採択の有無に関わらず支払いが発生
成功報酬型
- 採択時のみ支払い
- 補助金額の10〜20%程度
注意点
悪質な業者の見分け方
- 「必ず採択される」と断言する業者は避ける
- 高額な着手金を要求する業者には注意
- 実績や会社情報が不透明な業者は避ける
依頼前の確認事項
- 過去の採択実績
- 料金体系の明確さ
- サポート範囲(申請のみか、実績報告までか)
- 契約内容の透明性
補助金申請代行は法的な資格が不要なため、専門性のない業者も存在します。信頼できる業者を選ぶことが大切です。
無料で相談できる商工会議所やよろず支援拠点を活用し、必要に応じて専門家の有料サポートを検討するのが賢い方法といえるでしょう。

【ケース別】あなたに最適な補助金・助成金の選び方

従業員5人以下の小規模店→持続化補助金

おすすめポイント
- 補助上限50万円〜200万円
- 幅広い経費が対象(内装、設備、広告など)
- 商工会議所のサポートを受けられる
- 採択率が比較的高い(60〜80%程度)
こんな方に最適
- 個人経営または少人数の飲食店
- 初めて補助金に挑戦する方
- 店舗改装や広告宣伝に使いたい方
従業員5人以下の小規模飲食店であれば、まず持続化補助金を検討しましょう。申請のハードルも比較的低く、商工会議所のサポートを受けながら進められます。
IT化・DX推進したい→IT導入補助金

おすすめポイント
- 補助上限最大450万円
- POSレジ、セルフオーダー、予約システムなどが対象
- ハードウェアも補助対象(インボイス枠)
- IT導入支援事業者がサポート
こんな方に最適
- 業務効率化を図りたい方
- POSレジやセルフオーダーシステムを導入したい方
- キャッシュレス決済に対応したい方
- 勤怠管理や会計のデジタル化を進めたい方
人手不足や業務効率化の課題を抱えている飲食店には、IT導入補助金が適しています。設備とソフトウェアをセットで導入できるため、店舗のDX化を一気に進められます。
高額な設備投資が必要→ものづくり補助金

おすすめポイント
- 補助上限1,250万円〜4,000万円
- 革新的な設備投資に対応
- 高額な厨房機器や生産設備に活用できる
こんな方に最適
- 大規模な設備投資を計画している方
- 新商品開発や生産性向上に取り組む方
- 急速冷凍機など特殊な設備を導入したい方
数百万円〜数千万円規模の設備投資を計画している場合、ものづくり補助金が選択肢となります。ただし、審査が厳しく事業計画書の作成も高度なため、認定支援機関のサポートを受けることをおすすめします。
人手不足対策→省力化投資補助金・業務改善助成金

省力化投資補助金
- 配膳ロボット、清掃ロボット、券売機などが対象
- 補助上限200万円〜1,500万円
- いつでも申請可能(2026年9月まで)
業務改善助成金
- 設備投資と賃上げをセットで実施
- 補助上限30万円〜1,000万円
- 助成率最大9/10
こんな方に最適
- 慢性的な人手不足に悩んでいる方
- ロボットや自動化システムを導入したい方
- 従業員の賃金を引き上げる計画がある方
人手不足が深刻な飲食店には、省力化投資補助金や業務改善助成金が有効です。配膳ロボットや自動精算機などを導入することで、少ない人数でも効率的な運営が可能になる可能性があります。
雇用を増やしたい→キャリアアップ助成金

おすすめポイント
- アルバイトを正社員化で最大80万円
- 賃金3%アップで追加助成
- 要件を満たせば原則受給できる
こんな方に最適
- 優秀なアルバイトを正社員登用したい方
- 人材の定着率を高めたい方
- 従業員の処遇改善を考えている方
優秀なアルバイトスタッフがいる場合、正社員化することで助成金を受けられます。人材の定着と助成金受給を同時に実現できるため、積極的に活用しましょう。

まとめ:2025年12月から始める飲食店開業の補助金活用戦略

飲食店の開業には多額の初期投資が必要ですが、補助金・助成金を賢く活用することで、返済不要の資金を得られ、開業リスクを大きく軽減できます。
2025年12月時点で取るべきアクション
1. 2026年度の補助金公募に向けた準備を開始
- GbiずIDプライムアカウントを取得(2〜3週間必要)
- 事業計画書の草案を作成
- 商工会議所・商工会に相談予約
2. 随時申請可能な制度をチェック
- 中小企業省力化投資補助金(2026年9月まで)
- 地方自治体の補助金(自治体により通年受付あり)
3. 資金計画の見直し
- 補助金は後払い制度であることを前提に計画
- 日本政策金融公庫の創業融資など、開業前に使える融資制度を並行検討
4. 継続的な情報収集
- 商工会議所のメールマガジン登録
- J-Net21の支援情報ヘッドラインをチェック
- 自治体のウェブサイトを定期確認
自分に合った補助金を選ぶポイント
- 従業員5人以下→小規模事業者持続化補助金
- IT化・DX推進→IT導入補助金
- 高額設備投資→ものづくり補助金
- 人手不足対策→省力化投資補助金・業務改善助成金
- 雇用拡大→キャリアアップ助成金
補助金・助成金は、申請すれば必ず受給できるわけではなく、審査や条件があります。しかし、適切な準備と計画があれば、飲食店開業の強い味方となるでしょう。
商工会議所やよろず支援拠点など、無料で相談できる公的機関を積極的に活用し、自分に最適な補助金を見つけてください。2026年度の補助金公募開始に向けて、今から準備を始めることが成功への第一歩です。

※1 参考:中小企業庁「令和5年度補正予算 中小企業省力化投資補助金」
※2 参考:日本商工会議所「小規模事業者持続化補助金」
※3 参考:経済産業省「IT導入補助金2025」
